180728 第53回恂恂会読書会・太宰治「お伽草紙」
https://flic.kr/p/26LkqS9 https://farm1.staticflickr.com/929/41852192980_b003fbd337_k.jpg
今回の読書会のチューター・弁護士のM先生が選んでくださったのは、太宰治「お伽草紙」。
私は、高校の教科書に太宰治の「富嶽百景」の一部が掲載されていたのを読んで以来太宰治は初めてです。高校の時に「”さよなら”だけが人生よ!」が太宰治のセリフと聞いた時に、生意気にも「出会いがあるから別れがあるんやろ!」と、また心中未遂を一度起こし二度目の心中で自死した経緯にも反発した記憶があります。そんな思いもあって、当時「走れメロス」を勧めてくれる友人もいましたが結局太宰治は読まずでした。
この短編集の目次
盲人独笑
清貧譚(せいひんたん)
新釈諸国噺
竹青
お伽草紙
瘤取り
浦島さん
カチカチ山
舌切り雀
今回の読書会の案内フアックスに「全編ではなく『新釈諸国噺』を除いて結構です」とあったのを、私は「『お伽草紙』のみを読む」と勘違いして「清貧譚」・「新釈諸国噺」と「竹青」は読み飛ばしていました。今回の参加者のうち2名は全編を読んだ奇特な方もいたようです。
M先生は友人の先生から「『カチカチ山』が面白いよ!」と勧められてこの本に出会ったそうです。先生が事前にノートに準備した対象短編のあらすじと感想を簡潔にまとめてくださいました。「竹青」はちゃんと読んでみたいと思います。
「お伽草紙」は、空襲の防空壕の中で子供に読んで聞かせる「ムカシ ムカシノオ話ヨ」で語り始める形式で太宰治の脚本・語り口で綴られた4編のおとぎ話です。4編とも読み終えると不思議な気分になりますが、中でも「浦島さん」は亀と浦島さんの会話が面白くて、「落語で取り上げても面白そう!」と意見が出ていました。おとぎ話って教訓めいたオチが多いように思っていたけれど、私は4編の中で「浦島さん」をタイムマシーンや宇宙探検を連想して面白く読みました。
「カチカチ山」の狸と兎は人間なのね!?
音楽でもなんでもそうだけど、作品と作者の出自・経歴・実生活や他人の評価は別にして作品を鑑賞する態度が必要なのもしれません。
次回は12月1日。チューターは速水社長です。